FEM(Finite Element Method)とは、構造物や地盤の応力および変形をシミュレーションするための代表的な数値解析手法です。
異なる地層が複雑に絡まりあう場合、地盤の挙動も複雑になり、通常の設計計算では十分に地盤の挙動を評価できない場合があります。
このような場合、精度の高い地盤のシミュレーションが欠かせません。
当社では、竣工後数年間も沈下が継続する「圧密」と、地震時に発生し、建物に甚大な被害を及ぼす「液状化」について、FEMによる地盤解析を実施し、建物の安全を確認しています。
PLAXIS解析3Dモデル
使用ソフト:PLAXIS2D / PLAXIS3D (USA Bentley社)
FEMによる地盤解析では、計算に時間がかかるため、2Dモデル(地盤の断面モデル)が適用されることが少なくありませんが、
当社では、高速のコンピュータを導入することで、3Dモデル(地盤の立体モデル)による地盤解析を行っております。
3Dモデルは、地盤調査で行う数か所のボーリングデータから地層を想定し作成されます。
3Dモデルによる地盤解析を実施することで、複雑な地層においても、より正確な応力分布と変形のシミュレーションが可能となります。
地盤調査区画 (平面図)
柱状図 (No.4、No.2、No.3)
柱状図 (No.1、No.2、No.5)
地盤の立体モデル
数か所のボーリングデータから地層を想定してモデルを作成
圧密は、粘土層の水分が長時間にわたって排出することで起こる沈下現象です。
被害が竣工から数年後に発覚することもあり、予測や対策が困難と言われています。特に不同沈下が発生した場合は、建物の使用が困難になります。
近年では、研究が進み一般の設計計算においても簡易法で沈下量の計算が可能ですが、地盤が複雑な場合や建物荷重が大きい場合は、その精度には限界があります。
当社では、3Dモデルを用いたFEM解析を実施し、圧密による沈下量を精密に算定しています。
積載荷重を考慮した沈下計算
液状化は地震時、地盤が泥状になって強度を失い建物が傾いたり沈んだりする現象です。
杭基礎であっても杭頭が露出したり、損傷したりすることがあり被害が甚大になることが少なくありません。
一方で、当社のTNF工法を含む浅層改良工法は、一般的に液状化に強い工法と言われています。
当社では、安全性向上のため、3Dモデルを用いたFEM時刻歴応答解析を実施しています。
これにより、地中の「せん断ひずみ振幅」を算出し、液状化の発生リスクを評価しています。
同時に、地表の沈下量も計算し、これらの情報を建物の設計に活用しています。
地震の加速度150galでのTNF工法における 液状化のシミュレーション結果
鳥取県西部地震波(マグニチュード 7.3)による検討
せん断ひずみ振幅が2.7%<5%であり液状化の可能性は低い。